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by xflag_career

【デザイナーの履歴書】美大を出てからニートに?鈴木景子の妄想力が魅せる世界。

こんにちは、XFLAG スタジオのキャリア採用担当です。
XFLAG スタジオの各職種がどのような働き方をしているのかお伝えするべく始めた「中の人インタビュー」。
今回は、XFLAG ARTSでデザイナー兼アートディレクターを務める鈴木さんへのインタビューです。

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鈴木さんには、美術大学を卒業後、アルバイト生活や5年のニート期間を経て、XFLAG スタジオにジョインしたという経歴があります。
大学での"学び"はもちろん、アルバイト・ニート時代を含めたすべての経験がXFLAG ARTSの仕事に生きていると語る彼女。
そんな鈴木さんの"これまで"と、その経験がどのように"今"につながっているのかを知るために、今回はあえて「デザイナーの履歴書」と銘打ち、"振り返り"をしてもらいました。

suzuki_002.jpg鈴木景子(すずきけいこ)
大学卒業後、アパレル・雑貨店のアルバイトを経て、5年に及ぶニート生活に突入。同人誌の自主制作に没頭する。その後、フリーランスのイラストレーター・漫画家として活動し、2014年4月、モンストのイラスト制作に携わるため、ミクシィに入社。


――今回、鈴木さんがXFLAG スタジオにジョインするまでを振り返る意味で、履歴書を書いていただきました。こちらをもとにお話を伺っていきたいと思います。よろしくお願いします。

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鈴木:
よろしくお願いします。履歴書を書くなんて本当に久しぶりなので、思い出すのに苦労しました(笑)。

―― ・・・。大変興味深い履歴書ですね(笑)。ここまで個性的な履歴書はなかなかお目にかかれないかと。。それでは早速、鈴木さんの学生時代のお話から伺っていきます。

大学時代は"こじらせて"いた?

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――多摩美術大学卒業ということですね。専攻学科はどちらですか?

鈴木:
環境デザイン学科です。入学当初はインテリアや建築から街づくりにいたるまで、環境デザインを総合的に学んでいたのですが、コース分けのタイミングからはインテリアデザインを専門的に勉強していました。

――環境デザイン学科を選ばれた理由は何だったんですか?

鈴木:
高校でも美術コースのある学校に通っていたのですが、主に絵画やイラストなどの平面系のものにしか触れていなかったので......。当時、ショーウィンドウのデザイナーに憧れていた時期でもあり、空間・立体系のデザインに挑戦してみたいと思ったのがきっかけです。

――では、学生時代は学ぶものが多かったのではないでしょうか。

鈴木:
初めて知ることばかりで、とても楽しかったですね。ただ、入試ではデッサンの試験があったのに、入学後はほとんど絵を描く機会がなかったんです。課題で描くのは、定規でしか線を引けない「図面」がほとんど......。1週間もしない内に「絵を......絵を描かせてくれ......!!」と思うようになりました。

――大学でイラストを描く機会はなかったんですか?

鈴木:
「私はイラストが描きたいんだ!」という気持ちが爆発しかけた時に、学内の『絵本創作研究会』というサークルに所属して、絵本の制作を行うようになりました。活動自体は細々とでしたが、"絵を描きたい欲求"は、そのサークルで満たしていましたね。

――興味深いサークルですね。そちらではどんなイラストを描いていたんですか?

鈴木:
イラスト自体は普通にゆるい感じのテイストでしたが、絵本の内容のほうは、今思うと結構"こじらせた"感じもにじみ出ていたかもしれません。美大生らしいといえばらしいですけど(笑)。イラストはいま手がけているようなキャラクターとは全く違うイメージのものです。

――なるほど。そんな中、いわゆる「大衆的なデザイン」に対して、当時はどのような印象を抱いていましたか?

鈴木:
正直、"大衆的に良い"とされているデザインに対しては「みんな同調意識で評価しているだけでは......?」と思い込んでいる節がちょっとありました。「『流行っているものは良いもの』だと思ってるのか!?」みたいな。ただ、大衆的に受け入れられながらも、個性を強く打ち出しているクリエイターには、嫉妬と羨望のまなざしがあったと思います。

――当時のデザインの志向がこれまで手がけたキャラクターに反映された例などはありますか?

鈴木:
たとえば、『モンスト』のキャラクターである『アリス』が持っている『クレイジーラビット』というウサギのぬいぐるみは良い例かもしれません。当時の自分のデザイン傾向にあった "毒っぽさ"のテイストが盛り込まれていると思います。

――あの眼帯を付けたウサギですね? 確かに一般的な「可愛いぬいぐるみ」とは違うデザインで、キャラクターを象徴する要素のひとつになっていますね^ ^

同人活動で知ったフィードバックをもらう喜び

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――絵本の制作を続ける傍ら、就職活動はされていたんですか?

鈴木:
当時は漠然と「インテリア系に就職するんだろうな」という程度に考えていました。ですが、サークル活動やグループ展、卒業制作に没頭している内に、気づけば若干手遅れ気味になっていて(笑)。
それでも、「やっぱりイラストを描く仕事がしたい!」と思い、2社ほどゲーム会社を受けたんですが、最終面接までは進むもののあえなく撃沈......。当時はなんとなく「会社に属している自分」をイメージできずにいたこともあって、最終的にはいったん就職しない道を選びました。

――「会社に属している自分」をイメージできない、と言いますと?

鈴木:
「自分は世間一般の流れに属さない人間だ!」みたいな(笑)。毎日決まった時間に起きて、満員電車に揺られて、一定の時間会社に勤めるという生活に向いていないんじゃないかと......。学生時代は遅刻魔でしたし(笑)。それよりも、生きていけるだけのお金がもらえれば、あとはのびのびと絵を描いていたいという気持ちが強かったと思います。そんなこんなで、あまり危機感もありませんでした。

――美大卒業後は......アパレルと雑貨のお店でアルバイトをされているんですね。

鈴木:
はい。もともとインテリアデザインが好きだったこともあり、雑貨には興味があったんです。ですが、蓋を開けてみると、どちらかというとアパレルの比重が大きいお店で......正直「やっちまったな」と(笑)。接客も不慣れでしたし......。ただ、店内のポップ作りなどは得意分野だったので楽しかったです。

――ポップ作りはお任せ!というところですね。このお店に2年間勤めた後、ミクシィへのジョインまでには5年以上の空白期間がありますが、この間の出来事についてお聞かせください。

鈴木:
5年以上の空白......。まあ、ようは"ニート"なんですけどね(笑)。でも、何もしていなかったわけではないんです。
この頃は、美大時代の友人とアルバイト時代に始めた同人誌の制作が本格化していた時期でした。
もともと中学生の頃から漫画家に憧れがあったんですが、友人と記念で始めた同人誌が、即売会で完売した経験をしてしまって......「自分の作品が人に受け入れてもらえた!!」とすごく嬉しかったのを今でも覚えています。ハッキリ言って......完全に調子に乗ってしまいました(笑)。

――完売とはすごいですね! では、当時は同人誌の売上で生活されていたということでしょうか?

鈴木:
そうですね......。今思うと、かなり冒険的な生活だったと思います。美大まで行かせてくれた両親にはとても顔向けできない生活----のはずなんですが、幸いなことに、両親は私の創作活動をずっと応援し続けてくれました。おかげでのびのびと創作活動を続けられましたし、この頃の経験が今の自分に太く繋がっているので、感謝しかありませんね。

――その頃、職業としてのイラストレーターの道は考えていなかったんですか?

鈴木:
もちろん興味はあったんですが、当時は「どうやったらイラストレーターになれるのか?」が具体的にわからなかったんです。結果、同人作家としての生活に不安はあったものの、なかなか腰が上がりませんでした。

――ちなみに、今は仕事として絵を描かれている立場ですが、同人作家として制作をしていた時と大きな違いはありますか?

鈴木:
フィードバックのスピード感や熱量が、自主制作のものとは比べ物にならないですね!キャラクターをリリースすると、間髪入れずにユーザーの方からもフィードバックが返ってきます。
モンストは特に、非常に多くのユーザーさんに支えて頂いているので、SNS上だけでも反響の大きさを感じますし、リアルイベントで初出ししたキャラクターに対して現場で生の歓声を聞けるなんていうのは、本当に創り手冥利に尽きる瞬間です。XFLAG スタジオならではの喜びかと思います。

私はもともと「絵は人に見てもらわなければ意味がない」と思っているタイプなので、今のように多くのユーザーさんに見て頂けて、フィードバックをすぐ次の作品創りに生かせる境遇は、本当にありがたくって。
そのおかげで、クリエイティブに取り組む"気持ちのエンジン"を回し続けられているのだと思います。

ミクシィへの入社後

――ミクシィへ入社した当初は、『モンスターストライク』のレタッチ作業を担当されていたそうですね。

鈴木:
はい。当時はレタッチの作業が本当に難しくて......。先輩が手がけたレタッチ前とレタッチ後のキャラを参考として見せてもらったんですが、今だから白状しますけど、実はどちらのほうが『良いキャラクターイラスト』なのか、違いがよくわからなかったんです。「私、もしかして絵のことを何もわかってないのかも......」と悩んだことも......。同人活動の経験で多少なりとも自信を持っていたこともあり(笑)、相当ショックな出来事でした。

『モンスト』のイラストって、簡単そうに見えて描いてみるとすごく難しいんです。
加えて、それまで私が描いてきた絵とは全く毛色が違い、"どのようにイラストを良くしていけばいいのか"わかりませんでした。

"何かを掴んだ感覚"があったのは、2体目にレタッチを担当した『ジョン万次郎』というキャラの時でした。
最初に苦労したこともあり、先輩が作業している様子を側で見ながら徹底研究しましたね......。周囲の助けもあり、ひとまず世間に出せる仕上がりになりました。

john_manjiro.png――その後、先ほど少し話題に挙がった『アリス』を手がけられるわけですね。

鈴木:
はい。『アリス』はキャラクターデザインから携わったはじめてのキャラでした。
当時は『モンスト』で不足していた「可愛い女の子キャラ」を増やそうとしていた時期だったんです。入社後からいくつかのレタッチ業務を経て、「そろそろ次のステップを」というタイミングだったこともあり、私がキャラクターデザインを担当することになりました。

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鈴木:
渡されたキャラクターの想定表(キャラクター制作の指示書)をもとにデザインのイメージを固めていったんですが、一般的に認知度の高い『アリス』というモチーフや、闇属性といった設定から、次々とアイデアが生まれていきました。
「キャラクターのバックボーンを想像する」という点においては、同人作家時代に培った"妄想力"が生かされたんだと思います。リリースした時は、当時はまだ少なかった女の子キャラということもあり、ユーザーの方からの反響もたくさんいただけたことがとても印象に残っています。

ただ、デザインしていた時は、獣神祭限定キャラクターだとか、そんな大事な役目を担っているキャラとは伝えられてなかったんですよね、実は。
後から聞いて「えぇ!そんな重要キャラだったの!?」と変な汗をかきました(笑)。

――その他も、多くのキャラを手がけていると思いますが、「このキャラクターデザインはチャレンジだった」というような経験はありますか?

鈴木:
同人作家時代はキラキラした少女漫画風の作品を創っていたこともあり、筋肉質の『百地三太夫』を担当した時は「私、こんなマッチョなミドルエイジ描けるのかな?」と思いました(笑)。
でも、いざ描いてみると意外といい仕上がりになって、チャレンジして良かったなと思っています。今でもひそかに気に入っているキャラクターです。

momochi.png――XFLAG ARTSではそのように、あえてデザイナーの得意ジャンルではないキャラクターをアサインすることがあるとお伺いしています。

鈴木:
はい。登場するキャラクターのテイストに幅を持たせるために、あえてチャレンジしてもらうことがあります。でも、やってみると自分の作品創りの幅を広げられて、"新しい扉"が開く可能性があるんだと思います。そういう意味では、自分の個性をしっかりと持ちつつ、柔軟にデザインのテイストを変えられる人にとってはやりがいがある環境かもしれないですね。

――では、一番手応えがあったキャラクターを伺えますか?

鈴木:
それが......ないんですよね。全然納得できてないんです。振り返ると反省点だらけで......。

――なるほど。でもそれは「クリエイティブにゴールはない」ということかもしれませんね。

鈴木:
でも.....強いて挙げるなら......『アリス』の神化のタイミングでリリースした『ハートの女王』かも(笑)。

heart_alice.png想定表づくりの段階から携わらせていただいたので、以前から構想があった「不思議の国の住人達をシリーズで登場させて、住人達の身につけている物を奪い取って強くなっていくアリス」というアイデアを提案しました。イラストの中で、キャラクター同士の関係性を匂わせるものを仕込むのは、「ユーザーさんに気づいてもらえるかな?」とわくわくします。こういったアイデアの創出にも、同人作家時代にストーリーを構築していた経験が生きているのかなと思います。

これから"履歴書"を書くデザイナーへメッセージ

――ありがとうございます。お話を伺っている限り、これまでの人生経験が、実は随所で生かされているのだと感じました。学生時代には大衆的なデザインに対して疑問を抱いていたそうですが、現在はポピュラリティを意識してデザインをしなければいけない立場ですよね。何か心境の変化はありましたか?

鈴木:
「大衆的なデザインも、実はしっかりとした"こだわり"のもとに生まれている」ということでしょうか。これは、ものづくりに徹底的にこだわり抜くXFLAG スタジオだから気づけたことなのかもしれません。
今思うと、世間に受け入れられているもの・流行しているものというのは、当時の私が考えていたような単純なものではない、と感じます。

今も私の中にある"こじらせた"感性が、ポピュラリティを意識してデザインするときにも役に立っていると感じるんです。
XFLAG スタジオには様々な感性をもったデザイナーがいます。この多様な感性が共鳴しあうことで、誰も見たことのないキャラクターが生み出されているのだと思います。

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――なるほど。"こじらせた"アーティストも、XFLAG スタジオは必要としている、ということですね。
最後にこれから鈴木さんのようにXFLAG スタジオに提出する"履歴書"を書くであろうデザイナー達に向けて、何かメッセージをいただければと思います。

鈴木:
私には5年間のニート時代がありましたが、そこも含めてこれまで培ったもののすべてが現在の仕事に生かされていると感じます。
好きなものにおもいっきり打ち込んでいれば、人生なにひとつ無駄な時間なんてなくて、XFLAG スタジオでもその経験を生かせるはずです。
あれだけ「会社勤めとか無理......」と思っていた私も、今はどっこいとても楽しく会社で仕事をしていますし、通勤もなんとかなっています(笑)。

今、何かに没頭しているけれど、どこか自分は"くすぶっているんじゃないか"と感じている人がいるなら、ぜひXFLAG スタジオでそのパワーを爆発させて欲しいですね。

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***

大学在学中から、常にクリエイティブに没頭し続けてきた鈴木さんは、現在XFLAG スタジオでその経験を生かし、そして持ち前の感性を生かせる場所を見つけたようです。
"無我夢中で何かを突き詰めた経験がある"----そんな人の熱量で世の中を熱くしていけるのは、XFLAG スタジオならではなのかもしれません。

今後も、チームを、会社を、第一線でリードし続ける彼女に期待が高まります。

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